ヒメユズリハ

ヒメユズリハ(ユズリハ科)[姫譲葉・姫弓弦葉]

ユズリハに似ているが、葉が小さいことからこの名がある。ユズリハの名は春に枝先に新葉が出てから前年の古い葉を落とすことでこの名がついている。ユズリハ属はかつてはトウダイグサ科に含められていたが、心皮が3ではなく2なのでユズリハ科に分離された。庭木や公園樹、防潮樹として植えられる。またユズリハやエゾユズリハとともに正月飾りにも使われる。

暖地の海沿いの照葉樹林内に生える雌雄異株の常緑高木で、高さ3-10mになる。枝はやや太く、大きな葉痕が残る。樹皮は灰褐色、平滑で皮目があり、しばしば縦筋が入る。
葉は枝先に集まって互生し、長さ4-15cm、幅2-6cmの狭長楕円形で全縁、鈍頭で基部はくさび形。表面は光沢のある深緑色で、裏面は白緑色。革質で厚く、両面とも無毛、側脈は8-12対で葉脈は多く、しばしば網状に隆起する。葉柄は細く、長さ1.5-3cmでしばしば紅色を帯びる。
前年枝の葉腋から長さ4-6cmの総状花序を出す。花には1mmに満たない小さな萼片が数個あるが花弁はない。雄花の花柄は長さ5mm。雄しべは4-12個、花糸は長さ1.5mm、葯は褐紫色で長さ1.5mm。雌花の花柄は長さ3-5mm。雌花には仮雄しべはない。子房は長さ3-4mmの楕円形で花柱は短く、2深裂して裂片は反り返り、内面が柱頭となる。
果序は上向きにつき、果実は長さ8-9mmの楕円形の核果で、初め紅色で後に紫黒色に熟し、そのまま越冬する。核は直径6-7mm。

ヒメユズリハによく似ているが、果序が下垂し、葉先がよくとがるものをスルガヒメユズリハという。エゾユズリハは北海道や本州の多雪地帯に分布し、下部からよく分枝して枝は地をはう。ユズリハは葉がヒメユズリハより大きい。雄花に萼片がなく、果序は下垂する。
花期:5月
分布:本・四・九・沖
撮影:2021.11.4 神奈川県横須賀市
ヒメユズリハの雄花
雄花。 2017.5.15 神奈川県横須賀市

ヒメユズリハの雄花-2
花には花弁がないが、小さいながらも萼片はある。 2021.11.4 神奈川県横須賀市

ヒメユズリハの葉
葉は枝先に集まって互生し、垂れ下がらない。 2021.5.14 神奈川県横須賀市

ヒメユズリハの葉-2
葉柄は赤みを帯びる。 2021.10.6 神奈川県横須賀市

ヒメユズリハの葉-3
葉の裏面は白緑色で細かい網状脈が見える。 2021.10.6 神奈川県横須賀市

ヒメユズリハの果実
果序は垂れ下がらない。 2021.11.4 神奈川県横須賀市

ヒメユズリハの樹皮
樹皮は平滑で皮目がある。 2021.11.4 神奈川県横須賀市

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