ヒメウズ

ヒメウズ(キンポウゲ科)[姫烏頭]

烏頭(うず)とはトリカブトのことで、それに似て小さいことからついたといわれるが、花はトリカブトには似ていない。しいて言えば塊茎か果実が似ているかもしれない。
花期は長いが、咲き始めは早い。ふつう3月からとされるが、2月の初めには咲き出している。他の花が萌え出す前に細い茎を立ち上げ、小さな花をうつむき加減に咲かせる。その頃近くで目立っているのはオオイヌノフグリぐらいのもので、これから訪れる春花の盛りを予感させ、わくわくさせてくれる花だと思う。ただ、花は小さく、茎は針金のように細くて少しの風にもなびき、撮影しにくい花の一つ。
葉は確かにオダマキに似ているが、距がごく短く花外に突き出ないことなどから、現在は独立したヒメウズ属とされることが多い。

人家に近く、半日陰~日なたの草地や土手、石垣や道端などに生える多年草で、茎の上部で分枝して高さ10-30cmになる。茎は紫褐色を帯び、短毛が生える。地下の塊茎は長さ1cmの長楕円形。
根生葉は前年の秋に出て越冬し、長い柄がある3出複葉。小葉は2-3裂し、裂片はさらに浅く2-3裂する。裂片の先は円い。裏面は紫色または白色を帯びる。茎葉は2回3出複葉で互生し、柄は短く基部は茎を抱く。上の葉ほど小さくなり、柄も短くなる。葉柄にも短毛が生える。
細い茎の先に、白色にやや紅紫色を帯びた直径約5mmの花を下向きにつける。花弁状の萼片は5個あり、長さ5-6mmの長楕円形で、花弁、雄しべ、雌しべを囲む。花弁は5個、長さ2.5-3mmで直立し、基部にある距はごく短い。雄しべは9-14個。雌しべは2-5個でその数の果実ができる。花柄には開出した短毛が密生する。
果実は長さ5-6mmの袋果で2-5個が上向きにつく。種子は長さ1-1.4mmの卵形で黒く熟し、しわがある。

プロトアネモニンを含む毒草であるが、中国では全草を天葵(てんき)、根を天葵子(てんきし)といい、乾燥して解熱や利尿に用いる。
花期:2-5月
分布:本(関東地方以西)・四・九
撮影:2021.3.16 横浜市栄区
ヒメウズの花
花弁状の萼片の隙間に先が小さく膨らんだ距が見える。茎や花柄には短毛が生える。 2016.3.25 神奈川県横須賀市

ヒメウズの花-2
萼片に囲まれた花弁は直立し、短い。 2019.3.14 横浜市金沢区

ヒメウズの果実(袋果)
若い果実。熟すと内側から裂開して種子を出す。  2016.2.9 神奈川県鎌倉市

ヒメウズの根生葉
根生葉は3出複葉。 2020.2.3 横浜市金沢区

ホトケノザに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。