ヒメホテイラン

ヒメホテイラン(ラン科)[姫布袋蘭]

山地帯~亜高山帯の針葉樹林下に生える地生の多年草で、本州中部に生えるホテイランの基本種とされ、名は唇弁の形が布袋様の腹を思わせることによる。
青森県ではヒバ林の林床にまれに生えており、群生はしない。北海道ではさらに少ない。絶滅危惧Ⅱ類(VU)に分類される希少種で、環境の変化に弱く、盗掘と森林伐採により激減している。栽培不能といわれている種であり、掘り取っていっても無駄で、絶滅を早めるだけである。
ネットで検索すればこれら貴重な植物の生育地がおおよそ見当がついてしまう時代になった。山で見つけて舞い上がるのは勝手だが、ブログで喜々として生えている山域をさらに詳しくネット上にさらしてしまう無分別な輩がいるのは困りもの。盗掘者は山域さえわかればすぐ見つけ出せる。場所が推測できるような背景を写し込むことももっての他の行為である。

偽球茎は狭卵状で2-3節からなり、小数の根がある。
夏は休眠し、秋に1個の根生する葉を出して越冬する。葉身は長さ2.5-5cm、幅1.5-3cmの卵状楕円形でやや多肉で縦にしわが多く明瞭な3脈があり、縁は波状に縮れる。表面は緑色、裏面は紫色を帯びる。葉柄は長さ1.5-3cm。
花茎は直立し、高さ10-15cm、基部に膜質で茶色の鞘状葉がある。先端に芳香がある桃色の花を1個だけつける。苞は長さ1-2.5cmの広線形で鋭くとがる。萼片と側花弁は開出し、長さ2-3cm、幅3-4mmの線状披針形で先は鋭くとがる。唇弁は下垂して長さ2.5-3.5cmで白色、袋状に膨らみ、開口部に茶褐色の斑紋と白い祖毛がある。内面にも茶褐色の斑点がある。先は2裂して舷部とほぼ同長の距となり、前から見ると距は先端がわずかに見えるか全く見えない。蕊柱は花被片より短く、扁平で長さ1.5cmの卵状楕円形で縁は翼状に広がり、幅が広い。
なお、種子がラン菌を取り込んで細胞分裂し、まだ根や茎、葉などの構造がはっきりしていない細胞の塊の状態をプロトコルム(原茎体)といい、成長すると消失するが、ヒメホテイランは成株になってもプロトコルムを保持し続けるものがあるという。
白花の品種は、シロバナヒメホテイランといい、ヒメホテイラン自体が少ない中にも結構な確率で見られる。
変種のホテイランは距が舷部より長く、はっきりと距が見える。
花期:4-5月
分布:北・本(青森県)
撮影:2002.4.17 青森県
ヒメホテイラン2


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