ハナヒョウタンボク

ハナヒョウタンボク(スイカズラ科)[花瓢箪木]

名は、ヒョウタンボク(キンギンボク)に似ているが、唇形の花が初め白色で後にやや紅色を帯び、黄色に変わるなど、より見栄えのする花をつけることからついたものだろう。
個体数はごく少なく、環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)。青森県でもかつて(明治36年=1903年)生育が確認されていたが、現在は絶滅したものと思われる。日本では希少なハナヒョウタンボクであるが、大陸産のものが北アメリカなどに帰化し、在来の植物にとって脅威となっているという。

山地の沢沿いなど湿ったところにまれに生える落葉低木~小高木でよく分枝して2-5mになる。
幹は中空で樹皮は褐色~灰褐色で縦に裂けてしばしば剥がれる。若枝は茶褐色で短毛がある。
葉は対生し、長さ5-9cm、幅2.4cmの卵状長楕円形で全縁、基部は広いくさび形~円形、先は次第に細くなり長くとがる。両面とも脈上に屈毛があり、裏面全体に微細な油点がある。葉柄は長さ3-5mmで縮毛が密生する。
枝先の葉腋に長さ2-4mmとごく短い花柄を出し、2個ずつ左右相称の唇形花をつける。花は初め白色~帯紅白色でのちに黄色になる。花冠は長さ1.5-2cmの筒状で上唇は4裂し下唇は広線形。雄しべ5個と雌しべ1個は花冠から突き出る。花糸は筒部の頂まで合生し軟毛がある。葯は長さ3.5mm。子房は3室。萼は長さ2-3mm、先は中5裂する。苞は長さ3-5mmの線状披針形で早く落ちる。小苞は2個、長さ1.5-2mmの円形で基部で合着し縁毛がある。
果実は直径5-8mmの球形の液果で8-10月に赤く熟し落葉後も残る。果柄はごく短い。2個並ぶが合着しない。果実は有毒。種子は長さ3-4mmの卵形。

キンギンボクは花柄が長さ0.5-1.5cmと長く、花が唇形でなく放射相称。果実は基部で合着する。北海道にあるネムロブシダマは、葉の形はよく似ているが、両面に開出毛がある。花柄は長さ1-2.5cm。
花期:5-6月
分布:本(岩手・長野県)
撮影:2010.6.12 岩手県北上山地
ハナヒョウタンボク-2
花柄はごく短いのが特徴。 2010.6.12 岩手県北上山地

ハナヒョウタンボク-3
葉先は次第に細くなり先は鋭くとがる。 2010.6.12 岩手県北上山地

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