ゴゼンタチバナ

ゴゼンタチバナ(ミズキ科)[御前橘]

名の「御前」は加賀の白山の主峰御前峰(ごぜんがみね)のこと。「橘」は実がカラタチバナと似ていることからついたもの。山に登ればわりと普通に見ることができ、登山者にはなじみ深い花。

亜高山帯の針葉樹林の林床や高山帯のハイマツの縁などに生える常緑の多年草。茎は4稜があって直立し、下部は木質化して高さ5-15cmになる。根茎を長く引くのでしばしば群落をつくる。
葉は茎頂につき、長さ3-6cm、幅1-3cmの広楕円形で全縁、縦の脈が目立ち、先はとがる。葉が4個のものと6個のものがあり、2-3対が対生しているが、接近しているので輪生のように見える。花の咲く株は葉が6個で、2個だけが他の4個より大きい。
茎頂に1個の花柄を出し、1個の花に見える花序をつける。花序は直径2-4cmで、4個ある白色の卵形で花弁状のものは総苞片で、長さ0.7-1cm、本物の花は小さく、黄緑色で真ん中に10-35個が集まってついている。花は4数性で花弁と雄しべは4個。
果実は直径5-8mmの球形の核果で、花の数だけ全部が結実するわけではなく、数個が集まって赤熟し、まるでブローチのよう。

北海道東部に希産するエゾゴゼンタチバナは、葉が輪生状にならず4-5段に十字対生する。花弁の色は暗紫色を帯びる。
花期:6-7月
分布:北・本(中部地方以北、奈良県)・四
撮影:2008.8.3 長野県小谷村
ゴゼンタチバナ-2
葉の幅が狭いタイプ。 2013.7.7 秋田県東成瀬村

ゴゼンタチバナの果実
果実は球形の核果で赤く熟す。 2005.9.11 秋田県鹿角市


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