エゾイチヤクソウ

エゾイチヤクソウ(ツツジ科)[蝦夷一薬草]

北海道と南北アルプスの亜高山帯の針葉樹林帯に生える多年草で、花茎は10cmほどになる。絶滅危惧ⅠB類(EN)。イチヤクソウ属の植物は程度の差はあれ、みな部分的菌従属栄養植物と考えられている。
南アルプス(三伏峠)では、1947年以来確認されていないとの文献もあるが、実際は現在もしっかり生きているらしい。また、ほとんど全ての図鑑では、分布域に北アルプスの記載がないが、「日本の高山植物」(山と渓谷社刊)では、分布域に北アルプスも含まれていることから、かつては域内のどこか(雪倉岳?)で生育が認められていたが、長い間確認されなくなり、多くの図鑑等の分布域の記載から消されたものと考えている。

花付きがよく、カラフトイチヤクソウと同じく10-20個の花をつけるのが特徴で、花柱はまっすぐで長さ1-2mm、花冠よりずっと短いので花柱は花冠を横から見てもまったく見えない。萼片は長さ2mm以下と短い。葉は革質だが光沢はない。
よく似たカラフトイチヤクソウは北海道と東北地方に分布し、花茎は高さ10-20cm、花柱は長さ2.5-4mmあり、花冠の開き具合によって花柱が容易に確認でき、萼片も長さ2mm以上ある。
エゾイチヤクソウもカラフトイチヤクソウも北アルプスには分布しないものとされている。この写真のものはエゾイチヤクソウまたはカラフトイチヤクソウだと思うが、まったく花柱が見えていないのでエゾイチヤクソウの可能性が高いと判断した。

(追記)撮影時(1999年)は単独行ではなかったので、ゆっくり観察している余裕はなく、この写真を1枚撮っただけでその場を後にした。2004年7月、北アルプス立山の弥陀ヶ原でカラフトイチヤクソウが発見されたというニュースが入ってきた。しかしそれはエゾイチヤクソウの誤認だったと聞いている。ならば、これもエゾイチヤクソウであっても不思議ではない。北アルプスには少数ながらエゾイチヤクソウが息をひそめて生きている。
(追記2:2017.9.12)2016年5月、イチヤクソウ属の研究者である福島大学の首藤光太郎氏(現新潟大学)から、私が撮影、掲載しているものはエゾイチヤクソウの可能性が極めて高いとの連絡をいただいた。私は参加できなかったのだが、同年7月に火打山登山道と立山弥陀ヶ原周辺で現地調査を行った。その結果、私が撮影した火打山登山道では確認に至らなかったが、弥陀ヶ原周辺でエゾイチヤクソウの生育が確認できた。この立山における新産地の報告は日本植物分類学会の和文誌「分類」17巻1号に掲載され、公表された(著者:首藤光太郎・太田道人・黒沢高秀・田向一也)。
花期:7月
分布:北(利尻島・大雪、夕張山系)・本(福島県吾妻山・南ア赤石山系・北アルプス北部)
撮影:1999.7.25 新潟県妙高高原町


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