エノコログサ

エノコログサ(イネ科)[狗尾草]

名は花穂が子犬の尾に似ていることからついたもので、もともとは子供の呼び名。また、もとは東京の方言であるが、花穂で猫をじゃらすので別名ネコジャラシという。英名はFox tail grassでキツネの尾に見立てた。学校帰りの道すがら、前を歩く級友の首筋をなでたり服の中に入れて「毛虫、毛虫!」と騒いで遊んだ思い出がよみがえる。

有史以前の古い時代に渡来したと考えられている史前帰化植物で、日当たりのよい道端や空き地に普通に生える夏の1年生雑草。茎は細く、基部で分枝して倒伏してから立ち上がり、高さ20-70cmになる。
葉は扁平で質が薄く両面とも無毛。長さ10-20cm、幅0.5-1.5cmの線状披針形で先は長くとがり、基部は急に狭まって長い葉鞘となって茎を包む。葉舌は発達しない。
花序は茎の上端につき、小穂が密に集まった長さ2-6cm、直径約8mmの円柱状で直立するかやや垂れる。小枝は短く中軸に白色の開出毛がある。小穂は緑色、長さ2-2.5mmの卵形で鈍頭、第2苞穎は小穂とほぼ同長で、第2小花の護穎は外から見えない。小穂の基部から、小枝が退化した小穂の3-4倍長の長い緑色の刺毛が3-7本生えているので、花序全体が柔らかくふっくらした感じに見える。この刺毛は芒とは違うもので、小穂が落ちた後も残る。

小穂の基部の刺毛が紫褐色で、花序が紫褐色に見えるものをムラサキエノコロという。海岸に適応した変種はハマエノコロという。花序が長く、5-12cmあって先が垂れるものをアキノエノコログサといい、個体数は一番多い。
花期:6-11月
分布:日本全土
撮影:2002.6.24 埼玉県東松山市
エノコログサ-2
小穂の基部から長い緑色の刺毛が生えているので、花序全体がふっくらした感じに見える。2021.7.17 横浜市南区

エノコログサ-3
葉舌は発達しない。 2021.7.17 横浜市南区

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