ドクダミ

ドクダミ(ドクダミ科)[蕺草]

名は、毒や痛みに効くということから「毒痛み」あるいは「毒矯め」が転じたものといわれる。十薬ともよばれ、10種類の薬効があるからというが真偽のほどは分からない。牧野富太郎は十薬は「蕺薬をよい加減にこしらえた名」だとしている。
葉を蒸したものを貼れば化膿止めに、煎じて飲めば高血圧や便秘などに効くという。全体に特有の臭気があるが、火を通せば臭いは消え、食用になる。
根茎は長くはい、悪臭に閉口しながら刈り取っても、少しでも根茎が残っていればまた生えてくる、なかなか駆除が難しい草。北海道にもドクダミは野生化しているが、栽培由来の人為分布と考えられている。

陰湿な林下や屋敷の北側などの日陰地に根茎を伸ばして群生し、高さ20-50cmになる1属1種の多年草。
葉は互生し軟らかく、長さ3-8cm、幅3-6cmの卵状心形で先は短くとがる。暗緑色で光沢はなく、茎とともにしばしば紅色に染まる。托葉はやや膜質で鈍頭、柄と合着する。
茎の先に円錐形で穂状の花序を出し、花序は長さ2-3cmの柄がある。花穂の直下に4個(ときに5個以上)の白色で花弁状の総苞片(苞)がある。総苞片は長さ1.5-2cmの長楕円形で開出し、花後に残る。花穂は長さ1-3cmで多数の花をつけ、下から咲き上がる。花被はなく、3個の雄しべの花糸が基部で子房と合着する。葯は淡黄色、花柱は3個が合生し反り返る。
果実はほぼ球形の蒴果で、花柱間で裂開して細かい種子を散らす。
日本産のドクダミは3倍体で受粉、受精せずに単為生殖するのだという。では花粉は一応できるとしても、受精するための機能をもっていないということなのか。単為生殖できるのに、完全な機能をもった花粉をつくるために無駄なエネルギーを使うとも思えない。

総苞片が多数ついて八重咲きのようになるものをヤエドクダミといい、まれに見られる。
ドクダミ科でもう一つ日本に自生するハンゲショウは、開花時に花序に近い葉の下半部が白くなる。
花期:6-7月
分布:本・四・九・沖
撮影:2003.7.13 青森県八戸市
ドクダミ-2
4個の花弁に見えるのは総苞片。 2015.5.18 横浜市中区

ドクダミの花
花は両性花。3個の雄しべと1個の雌しべが一つの花。花糸が下部で子房と合着し、花柱は3個で反り返る。 2020.6.4 横浜市栄区

ドクダミの葉
葉は暗緑色。 2015.5.18 横浜市中区

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