ブタナ

ブタナ(キク科)[豚菜]

昭和8年(1933年)に北海道で最初に確認され、タンポポに似ているのでタンポポモドキと命名され、翌年に兵庫県に見つかったものにブタナの名がつけられた。ブタナの名はフランスで俗に「豚のサラダ」とよばれていたものを直訳したことによる。最初につけられたタンポポモドキの名はYListでは別名とされている。タンポポモドキの名は、カワリミタンポポモドキも当初タンポポモドキの名が与えられ、混乱のもとであるので使わない方がいい。なお、英名はcat's earで葉の形による。

飼料の輸入とともに日本に入ってきた可能性が高いヨーロッパ原産の多年草で、茎は細く長くよく分枝し、風に揺られて倒れそうで倒れない。各地の牧場、原野、高原の道路沿いなどに広がり、今では全国の市街地の道端にも多い。八甲田山麓田代平高原では、以前は一面黄色いじゅうたんを敷きつめたように見えるほど殖えていたが、最近はかつての勢いはなくなった。
葉は全てロゼット状に根生し、長さ6-11cm、幅1.5-4.5cmの倒披針形で先は円く、不規則な羽状に浅~中裂し、裂片は鈍頭~円頭、両面と縁に黄褐色の硬い毛を密生する。
根元から50-60cmの細長い花茎を何本も伸ばし、枝を分けないか上部で数本に枝分かれして直径2-4cmのタンポポに似た頭花をつける。花茎は基部近くを除き無毛で、普通葉はなくまばらに鱗片葉がある。頭花は黄色の舌状花のみからなる。総苞は長さ1.5-2cm、総苞片は3-5列で直立し、外側ほど短く、背面に1列の白い毛が生えるかまたは無毛。舌状花冠の先は浅く5裂し、冠毛は花筒部の半長以下。花床には長さ1.7cmになる披針形で膜質の鱗片がある。
痩果は長さ約4mmの円柱形で先が伸びて長い嘴となり、冠毛は淡褐色、1列で羽状に分裂する。表面に微細な刺状突起がある。

よく似たヒメブタナは分布は少なく、頭花が直径0.5-1.5cmと小さい。
花期:6-10月
分布:帰化植物
撮影:1999.9.18 岩手県山形村
ブタナ-2
一面に群生する。 2004.6.12 青森県木造町

ブタナの花
総苞片は3-5列で直立する。頭花は舌状花のみからなる。 2022.5.12 神奈川県厚木市

ブタナの葉
葉は全てロゼット状に根生する。 2022.5.12 神奈川県厚木市


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