アイ

アイ(タデ科)[藍]

名は青(あを)の転、青居(青い汁が居る)の意など諸説ある。別名タデアイアイタデ。地方名は岡山で「あいばこ」、埼玉で「あえっぽ、あこ」、福島などで「そめうえー」、佐賀で「やー」などがある。
インドシナ半島原産で、飛鳥時代に中国経由で渡来し、古くから染料植物として利用されてきてまれに野生化している。葉や茎に色素成分のインディゴを含み、葉を寝床とよばれる発酵施設で発酵させ、これを臼に入れて搗き固めて藍玉にして染料として用いる。漢方では葉や果実を干したものをそれぞれ藍葉(らんよう)、藍実(らんじつ)といい、藍葉は虫刺されや火傷に塗布し、藍実は解毒や解熱時に煎服する。
主産地は徳島県で、江戸時代はベニバナ、アサとともに「三草」とされた。藍染めを専業とする染物屋は紺屋(こうや)とよばれ、今でも紺屋町という町名が残るところがある。

やや紅紫色を帯びた滑らかな円柱状の茎が直立して上部で分枝し、高さ50-70cmになる1年草。
葉は短い柄があって互生し、長さ3-8cmの長楕円形~卵形で全縁、基部は広いくさび形で先はとがる。表面はやや黒みを帯びた緑色で傷をつけると藍色に変化する。托葉鞘は筒形で膜質、長い縁毛がある。
秋に長さ4-5cmの総状花序に紅色を帯びた白色の小花を多数密生してつける。花被は5深裂し、花後に閉じて痩果を包む。雄しべは5-8個、雌しべは1個で花柱は3裂する。
果実は残存した花被に包まれた長さ1.5-2mmの3稜形の痩果で、光沢のある褐色。

イヌタデはよく似ているが、傷をつけても藍色にならない。沖縄で栽培されているリュウキュウアイはキツネノマゴ科の常緑低木で、アイと同様に染料を作る。ヤマアイはトウダイグサ科の多年草で、長い葉柄があって葉に光沢があり、青色の色素はない。
花期:8-11月
分布:帰化植物
撮影:2023.10.18 横浜市南区
アイ-2
イヌタデに似ているが、ずっと背が高い。 2023.10.18 横浜市南区

アイの花序
密に花がつく。 2023.10.18 横浜市南区

アイの花
ピンクを帯びた白色の花被は5深裂する。雄しべは5-8個。 2023.10.18 横浜市南区

アイの葉
ヤマアイのような光沢はなく、葉柄は短い。 2023.10.18 横浜市南区

アイの托葉鞘
托葉鞘は膜質で長い縁毛がある。 2023.10.18 横浜市南区

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